投稿

浴槽の火事と太陽光発電

  浴槽の様子を見に行った。浴室内に入って何やらこげ臭いにおいがしたけど、気に留めず、バイメタル式水温計の目盛りが 40°C に高くなっているのを確認した。カミさんもすぐに来て、臭いに驚く。私は浴槽のフタを取る。電気ヒータから火の手が上がっている。落しフタにしていたアルミ蒸着の保温材も溶けている。カミさんは台所から消火器を持って来て、これで消せと叫ぶ。私は、それを制して、   ヒータの電源コンセントを抜き、シャワーヘッドから水を流して火を消した。なぜこのような事が起きたのか。そのてんまつ書く。   発端は回覧板で廻ってきた太陽光発電パネルについての、市からの補助金の案内である。 28 万円を上限に補助金が出るのだ。さっそく、太陽光発電装置の調査を開始する。ネットで見ると九州で第 1 位 の実績を誇るという販売店が見つかる。電話すると受け付けの女性が実にサバけている。私の要望と意図を理解して、的確な助言をする。家の建物質図面を PDF ファイルで送る。その過程で私は、電気についてはそこそこの専門家であり、息子も電気を勉強して九電で働いていると余汁なことまでしゃべった。   数日後、 40 代前半とおぼしき 2 人が見積り書を持って来た。私の要望に応えるべく、ベテランだと言った。提案書 には 、システム導入の効果をシュミュレーション結果を用いて、 1 年間の予想を示してある。宗像市の年間天気データをもとにして、私の家 の 屋根の傾きと方角まで入れて計算 し てあるそうだ。念のために、蓄電装置も併設する場合の見積りも持ってきた。蓄電器を含めてると 300 万円以上になるので、これは止めた。 2 人の担当者も私の意見にすぐに同意した。メーカはカナディンソーラとハンファ (Q セル ) である。日本のメーカは最初から入っていない。彼らは、蓄電器をやめるなら、ハンファが良いと言った。ハンファは韓国のメーカである。西ドイツのメーカであった Q セルを買収したそうだ。技術には定評があるようだ。いずれも、また、日本勢に限らず、パネルは、中国で製造しているようだ。彼らは技術について詳しかった。私の質問には的確に答えてくれる。おまけに、発電容量を下げる要望にもその場で電卓をたたいて、見積り額をただちに...

数学論文投稿 ( Journal of Functional Analysis, Elsevier )

私の論文 、 ”An Elementary Approach to The Fourier Transform of Non-Absolutely Integrable Functions” は 、 電気学会からも門前払いになりました。事務局からの連絡によれば、査読者 2 名を見つけることができなかったそうです。私が推薦していた、査読者にも断られたのかもしれません。電気工学では必須の数学道具であるフーリエ変換の基礎理論をやさしく書いているだけであるので、査読してもらえないのは残念です。 最後の手段として、 Elsevier 社が発行する、 Journal of Functional Analysis に投稿しました。 Fourier Transform を専門とする Editor もいるので、分野外との理由で拒絶されることはないかと思います。この論文誌は、九大の元総長、有川節夫 ( 九大数学科卒 ) 名誉教授の紹介で、同じく九大の名誉教授の中尾充宏先生から投稿先として助言をいただいたものです。 論文要約と謝辞の部分を英語のまま、以下に貼り付けます。電子情報通信学会の対応については、論文原稿の改善では感謝するけれども、査読拒否の最終判断を関節的に批判する文言を書かせてもらいました。結果がどうなるにせよ、これがだめであれば以後の投稿は諦めます。 web には残せるので、そこまで悔いは残りません。 Abstract To provide an alternative theoretical foundation to the Fourier transform of non-absolutely integrable functions in a conventional manner, a modification to define the Fourier transforms is proposed. The integration interval is truncated and is later expanded to infinity, referred to as the generalized-limit Fourier transform. This definition is closely related to the tr...

五島から済州島 (道) への牛泥棒

済州島は五島の西北に位置する。距離は五島から長崎までの3倍ほどである。韓国経済の興隆にともない、リゾート地としても有名になった。私は国際会議のために3回は訪れたことがある。五島では済州島の話は昔から聞いていた。何年か前では、地元で漁師をしている同級生が海岸に打ち上げられて死んでいた海女さんを見つけたそうだ。警察に届けて、身元捜査が行われたけど、近隣からかの情報は上がって来なかった。韓国への問い合わせで、けっきょく 、済州島の海女さんであることが、歯形などで確認された。海流 (対馬海流) に流され、ウェットスーツを着ていたので、浮いたままで流れ着いたようだ。 子供の頃に、済州島の海女さんが五島まで遠征してきて、アクビ などの漁をしていたことは聞いたことがある。海の民が韓国沿岸、九州北岸そして、日本海沿岸 にかけて住み着いていたことは、最近のDNA研究でも明らかになっている。弥生時代の始まりの頃である。 私が今住んでいる宗像の近くにある鐘崎は、大きな船を持つ漁師がたくさんいる。最近までは、海女さんもいたと聞く。  子供の頃、父親から聞いた話が、今回の題目である。父親がその父親に聞いた牛泥棒のことだ。五島の人が船で済州島に出かけて、牛を盗んで帰ることがよくあったというものだ。私は当時、ヘー と思ったけど、見たこともないそんなに遠い済州島までどっやって行けたのだろうか? 行けたとしても、住民がいるので、そんなに簡単に牛を盗めるだろうかという疑問を持っていた。ところが、最近、韓国の連続テレビドラマ「チャングムの誓い 」のある場面を観て、父親が私に話したことは、十分に可能ではないかと思った。  チャングムは陰謀による事件にからんで宮廷を追われ、奴卑(ただし医者の見習いで医女と呼ぶ。医女が奴卑の身分とは今では考えられない)となり済洲島に流されている。何度も脱走を企だてて捕まる。その時に、役人が言った。「次にやったら、無人の牛島に追放する」。牛島は、済州島北東端に付随するいくつかの無人島のうちの一つである。私は「牛島」と「無人」を結びつけて、父親の言った方を考えてみた。恐らく無人の牛島には牛が放牧されていたのであろう。無人の島でも牛が繁殖するのは、私の実家がある五島奈留島のそばにある葛島で確認できる。 この島はかっては人が住んでいた。だいぶ前に集団で移住して来た。...

数学論文投稿 (電気学会)

 電気学会からも、少し案じていたように、下記のような門前払いとなりました。 最後の手段として、元九大数学科教授中尾先生のお勧めのElsevier が発行する Journal of Functional Analysis に投稿してみます。 赤岩 芳彦 殿 下記原稿につきまして,編修長が削除することを決定し,その作業が完了いたしましたので,ご連絡申し上げます.今後とも何卒よろしくお願い申し上げます. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 受付番号(IEEJ ID)   24013925 原稿タイトル     An Elementary Approach to The Fourier Transform of Non-Absolutely Integrable Functions 著者         赤岩 芳彦 投稿論文誌名         共通英文論文誌(TEEE A) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 事務局からのコメント: 電気学会では2名以上の査読者選任が困難であるため,返却(削除)とさせていただきます。

分布定数線路

社内研修用の講義資料を作ってみました。分布定数線路の理論と応用を解説しています。ここではまえがきのみ掲載しておきます。 続きは資料 を見てください。 1 .  まえがき    高周波信号を伝送する線路は分布定数線路と呼ぶことがある。例えば、 VHF 帯の TV 信号用のケーブルとして、レッヘル線 (Lecher line) がよく使われた。 TV 信号が UHF も使われるようになって、これの代わりに同軸ケーブルが使われている。マイクロ波などの線路としては、立体回路である導波管が使われる。マイクロ波回路の中では、マイクロストリップ線路 (micro-strip line) がよく使われる。これらの線路の性質は、 Maxwell   の電磁界方程式をそれぞれの境界条件を与えて解くことによって示すことができる。 同軸ケーブルの電磁界理論 は、 Maxwell   の方程式の意味するところから始めて、私の下記のブログにも載せているので興味がある方は読んでください。 https://yakaiwa.blogspot.com/2023/03/blog-post_17.html  分布定数線路という用語は、従来の集中定数回路を意識して作られたものであろう。集中定数回路素子である Inductance 、 Capacitance が分布する回路モデルが用いられる。このモデルを使えば、電圧や電流の波としての性質を記述できる。 Maxwell   の電磁界方程式を持ち出すまでもなく、集中定数電気回路理論の延長として、理論展開ができるので、取り付きやすい。ここでは、分布定数線路の理論解析を、馴染みがある実数関数を用いて始める。その後、複素数表示 ( 交流理論 ) を使って説明を行う。電気工学が専門でない方にも、複素数表示の数学的な便利さを実感していただきたい。また、分布定数線路を用いた応用例を示して解説している。

洗濯機の故障と修理

  10 年間使っている東芝製の洗濯機が、風呂の水を吸い上げなくなった。ポンプがダメになったと思ったので、メーカの修理窓口に電話した。部品があったとして、修理には 17,000 円ぐらいかかると言う。おまけに部品がなく修理できなくとも、出張費が 4,000 円かかる。もったいないと思ったので、風呂水吸い上げ用の小型水中ポンプを 2,000 円くらいで通販で申し込んだ。その夜、布団の   中で気づいた。ポンプの故障ではなくホースに穴が開いている の が原因ではないかと。吸い上げ式のポンプだからである。案の定、蛇腹状ホースの差し込み口付近に小さな亀裂が見つかった。そこを、ビニールテープでふさいで試した。ポンプの音はしているのに、水が上がらない。調べてみると、他にも穴がある。少し 引っぱってみると、ホースの蛇腹の山と谷のあちこちに穴が開いた。 結局のところ、先端から  40 cm  くらいのヘタっている部分を切り取って、水が上るようになった。   ところが、 2 ヶ月ぐらい経ったところで、また、吸い上げなくなった。今度   はポンプの音がしない。ネットで調べてみると、東芝製洗濯機用として、純正ポンプが売られている。しかし、適合機種が合わない。ともかく、洗濯機の機種 ( モデル ) が驚くほど多い。似たようなモデル番号であるが、末尾の記号が異なるものがたくさんある。恐らくは、量販店向けの仕様をわざと少し変えているのだろう。東芝の相談窓口にまた電話をしてみた。私の機種を伝えて、これに適合するポンプの型を教えてくれて頼んだ。担当者が怒った声で言うには、「当社の純正部品が市場に出廻ることはないはずだ。教えるわけにはいかない」。   それでも、最後には「ネット通販会社に問い合わ   せてみたらどうか」と言ってくれた。       ネット通販サイトには、買った客が投稿した記事がいくつかあった。役に立った記事は、洗機の後側の上部のビス 2 本をはずすと、パネルが取れて、ポンプ   交換が簡単にできると書いたものである。   また、ポンプのサイズは少し小さいものでも、ホースサイズは同じで、電源 ( 恐ら...

数学論文投稿(電子情報通信学会から電気学会へ)

 電子情報通信学会 英論文誌A (基礎境界) への論文投稿が破局になったことはすでに書いた。そこで、古巣の通信ソサエティの英論文誌に投稿をしていました。ところが、少し案じていたように、下記のような受付拒否の連絡が来ました。 The IEICE Transactions on Communications editorial committee has regretfully decided that your manuscript be returned to the authors without being considered for publication because it appears to have little relation with the topic of our journal.   どこの論文誌に投稿するか思案していたところ、友人の助言もあったので、電気学会の英論文誌(基礎)に投稿しました。この論文誌は応用数学を分野に含んでいるので、上のような拒絶理由はないと思っています。また、私の引用文献が日本語で書かれているものが多いので、外国の論文誌はこの点が問題になるかもしれないと思った次第です。 私が添えた手紙を紹介します。 電気学会論文委員会 殿 2024.12.10 赤岩芳彦     非会員ですが投稿させていただきます。この論文は私が会員である電子情報通信学会の論文誌に投稿したものの、悲しいいきさつ(私の短気で不適切な言動も原因)で査読を打ち切られたものです。   論文の内容は、フーリエ変換の理論とその応用に関するものです(参考までに別紙に内容をまとめております)。フーリエ変換は、電気工学でも必須の数学的道具の一つであると思います。ただし、対象とする関数が積分不可能な場合には、その理論的な扱いは超関数の議論が基になっています。例えば、電気工学で多用される三角関数のフーリエ積分では、デルタ関数が現れます。デルタ関数もまた、電気工学で利用する数学の代表の一つです。   超関数理論におけるフーリエ変換の定義は、抽象化され従来の定義と大きく異なっています。そのため、適切な教科書が少ないこともあって、数学を利用する工学者には馴染みが少ないです。そ...