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9月, 2019の投稿を表示しています

ある猫の死

私は猫は好きでない。どちらが好きかと聞かれたら犬と答える。 その猫とあったのは、3〜4年前の夏の日であった。五島の奈留島にある生家に帰っていた。今では誰も住んでいないので、定年後の趣味の釣りを兼ねて、家に風を入れるのと庭の手入れのために、2〜3週間の予定で、春、夏、秋と少なくとも年に3回は訪ねている。 その猫はまだ大人になっておらず、また、ひどくやせていた。実家に来て間もなく、庭に出てみるとその猫が近づいてきた。おまけに、私の足に体全体をぐりぐりと寄せる。どうやらかまってくれと言っている。私も一人でこの家に滞在しているので、寂しくないといえば嘘だ。最初は少しかわいいと思った。 私が実家に帰ると必ず、何匹かの野良猫がやってくる。特に釣ってきた魚をさばいている時に。たいていは追い払う。野良猫はすばしっこい。刺身用におろした身を、今まで何度か持ち(咥え)逃げされされている。大事なところを取られるよりはと思って、頭やハラワタを投げ与えることもある。 今度の猫は全く違う態度である。まだ、小さいので甘えていると思った。よっぽど、エサをやろうかと思ったけれども、止めた。私が餌をやったら、この猫はその時には嬉しいだろうが、私はすぐにいなくなる。甘やかしたら、その先、自分で餌を見つけて食っていく技を習得するのに、よくないと考えたからである。次の日も同じように私に近づいてくる。私は前よりも邪険に接する。 実家の隣には初老の夫婦と息子が住んでいる。その当時、猫を7〜8匹飼っていた。息子さんが猫が好きで、捨て猫をかわいそうだといって拾ってきて世話をしている。猫たちの餌も兼ねて、仕事の合間に波止場に釣りに行っている。その息子に、今話している猫のことを話した。彼は、あの猫は多分、だいぶ大きくなってから捨てられたのだろうと言う。だから、人なつっこいのだろうと。彼の飼っている猫の一員になれないのは、そこそこ大きくなっているので、元からいる猫(たち)が受け入れないのであろう。 その猫に邪険する日が続いたある夜のことである。一人での晩飯と酒を済ませて、久しぶりに皿洗いも直ちにやり終えて、外の風に当りに出た。家のすぐ前に海水浴場が整備され、子供達が飛び込む為の突堤まで作られている。この突堤の先端に出て、高くなっている台地に寝そべって夜の空を見上げるのが好きである。その夜は、海が

自分が納得のいく成果を

自分が納得のいく成果を https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/2008/4/2008_4_4_20a/_article/-char/ja/

私のコンピュータ体験

九州工業大学 情報工学部計算センターの雑誌に投稿したものです。 私のコンピュータ体験

物事の本質を訪ねて

 大分大学での最終講義のスライドです   物事の本質を訪ねて https://drive.google.com/open?id=1_OfoZxnUGO3-npJOo0GYjn6h9GOhDnQl

書評:前方後円墳: 巨大古墳はなぜ造られたか、Amazonへ 投稿

古代史の研究において、ある出来事の年代を確定することは重要である。特に、金属や石に刻まれた年代は、その他の年代決定の基準になるので、その確定は古代史の真実を知るための根幹となる。この本の中でも述べられている稲荷山古墳出土の鉄剣に刻まれている辛亥年は最も重要であろう。編著者の吉村武彦は、何の根拠も示さずに西暦471年と書いている(p187)。一方で、韓国の研究者、申 敬澈は古墳発掘土器の編年を元に、これに疑問を呈し、6世紀前半(531年)と指摘している(p243)。重要な論点について、同じ本の中でこのように異なる見解が書かれていることについて、編著者が無頓着であることが不思議でならない。研究において、論点の重要性の軽重を意識していないのだろうか。私が属している理工系の学会などの書物では、このような事態は考えられない。すぐに活発な議論がおこり、真偽が確かめられる。新しい重要な事実は、研究に革命を起こすからである。この辛亥年については、在野の研究者であった、故 石渡信一郎が、古くから531年と主張していた。ただし、主流の研究者からは無視されているように思われる。私は、専門外ながら、彼の論の展開は説得力があると思う。古代史の研究者の研究執筆態度には前々から、疑問を感じていたので、この本を読んだ機会をとらえてここに述べさせていただいた。赤岩 芳彦

書評 「資本主義と闘った男:宇沢弘文と経済学の世界」amazon 投稿

この大作を2日で読み上げた。久しぶりの感動をおぼえた。宇沢弘文という人間を知ることができたのと、これまで切れぎれだった経済学の知識が、宇沢弘文に絡めて生々しく繋がったことがうれしい。どなたかがすでに述べられているように、著者、佐々木実さんの力量に感謝したい。このような大作は、米国人(例えばハルバースタム)などに限られていて、日本ではチマチマした著作が多いように思っていたので、よけいにうれしい。たくさんの経済学者の研究成果を、的確に解説してくれるていると専門外ながら思った。文章が引っかかることなく展開されていることがその根拠といえよう。また、宇沢弘文の業績が世界の最先端のものであったことがさらにうれしい。このような研究者は、我が国では少ない。素材と書き手がかくも素晴らしく出会ったことを喜びたい。ぜひ、英語に翻訳して出版して欲しい。Y. Akaiwa 本を書くにあたり、著者が会ってきた4名の経済学者が宇沢弘文を追悼する動画を見つけたので、下に紹介します。 https://m.youtube.com/watch?feature=youtu.be&v=ZOTIk1FQaR0 https://m.youtube.com/watch?feature=youtu.be&v=ZOTIk1FQaR0

赤岩 芳彦 ホームページ

赤岩 芳彦 http://www.awcc.uec.ac.jp/akaiwa/