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超関数のフーリエ積分

  私の数学論文が9回も落とされており、懲りずに 10 回目の投稿への原稿書き直しと査読者への反論を書き終えて寝かしていることは、 先のブログ に書きました。先々日に大きな進展があったので書きます。   論文拒絶の理由で最後まで残っていたのは、絶対可積分でない関数に対する私の方法 ( 定義 ) が不明瞭、悪く言えば眉唾ものだという指摘でした。私の提案方法を「コロンブスの卵」(彼が立たない卵をどうやって立てたか知っていますか)として、反論をしてきたけども受け入れてもらえないでいる。この件について、私の方法を支持する決定的な数学証拠を見つけることができました。コロンブスの卵を持ち出すこともなく、私の方法は従来のフーリエ変換理論と全く同じであることが分かったのです。   その前に私の論文の動機・意図を説明します。無限に続く三角関数などの、積分できない関数は、従来のフーリエ変換理論では対処できない(と思われていました)。そこで、有名な数学者シュワルツ( Schwartz: 数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞受賞者)は、これを超関数 (恐ろしげな名前 . これは和訳がおかしい . 原義は分布 (distribution) であり、関数 (function) を広く解釈しただけ)を使って新しい数学理論を打ち立て、これを用いて絶対可積分でない関数のフーリエ変換の問題を解決した。ただし、フーリエ変換の定義が今までのものからガラリと変わっている。無限に続く三角関数のフーリエ変換はデルタ関数となる。これは、物理学者のディラック (Dirac: ノーベル賞受賞者 ) が量子力学を記述するために発明した。   それで、従来の初等的方法(定義)で議論する方法が提案されている。ただし、あまり知られていない。その理由は、その方法が手の込んだもので使いづらいからである。超関数理論の結果は随分と簡単であり、これを使えば済む話だ。ただし、超関数理論をそのものを理解している人は少ない。かく言う私も最近までその 1 人。スマホの中でどのような無線通信がなされているか知らないで、使っているだけの状況と同じ。ただし、大学でフーリエ変換やデルタ関数を講義するからには、先生がその道具の中身を理解していないと、学生は騙されていると感じるだろう