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12月, 2024の投稿を表示しています

五島から済州島 (道) への牛泥棒

済州島は五島の西北に位置する。距離は五島から長崎までの3倍ほどである。韓国経済の興隆にともない、リゾート地としても有名になった。私は国際会議のために3回は訪れたことがある。五島では済州島の話は昔から聞いていた。何年か前では、地元で漁師をしている同級生が海岸に打ち上げられて死んでいた海女さんを見つけたそうだ。警察に届けて、身元捜査が行われたけど、近隣からかの情報は上がって来なかった。韓国への問い合わせで、けっきょく 、済州島の海女さんであることが、歯形などで確認された。海流 (対馬海流) に流され、ウェットスーツを着ていたので、浮いたままで流れ着いたようだ。 子供の頃に、済州島の海女さんが五島まで遠征してきて、アクビ などの漁をしていたことは聞いたことがある。海の民が韓国沿岸、九州北岸そして、日本海沿岸 にかけて住み着いていたことは、最近のDNA研究でも明らかになっている。弥生時代の始まりの頃である。 私が今住んでいる宗像の近くにある鐘崎は、大きな船を持つ漁師がたくさんいる。最近までは、海女さんもいたと聞く。  子供の頃、父親から聞いた話が、今回の題目である。父親がその父親に聞いた牛泥棒のことだ。五島の人が船で済州島に出かけて、牛を盗んで帰ることがよくあったというものだ。私は当時、ヘー と思ったけど、見たこともないそんなに遠い済州島までどっやって行けたのだろうか? 行けたとしても、住民がいるので、そんなに簡単に牛を盗めるだろうかという疑問を持っていた。ところが、最近、韓国の連続テレビドラマ「チャングムの誓い 」のある場面を観て、父親が私に話したことは、十分に可能ではないかと思った。  チャングムは陰謀による事件にからんで宮廷を追われ、奴卑(ただし医者の見習いで医女と呼ぶ。医女が奴卑の身分とは今では考えられない)となり済洲島に流されている。何度も脱走を企だてて捕まる。その時に、役人が言った。「次にやったら、無人の牛島に追放する」。牛島は、済州島北東端に付随するいくつかの無人島のうちの一つである。私は「牛島」と「無人」を結びつけて、父親の言った方を考えてみた。恐らく無人の牛島には牛が放牧されていたのであろう。無人の島でも牛が繁殖するのは、私の実家がある五島奈留島のそばにある葛島で確認できる。 この島はかっては人が住んでいた。だいぶ前に集団で移住して来た。...

数学論文投稿 (電気学会)

 電気学会からも、少し案じていたように、下記のような門前払いとなりました。 最後の手段として、元九大数学科教授中尾先生のお勧めのElsevier が発行する Journal of Functional Analysis に投稿してみます。 赤岩 芳彦 殿 下記原稿につきまして,編修長が削除することを決定し,その作業が完了いたしましたので,ご連絡申し上げます.今後とも何卒よろしくお願い申し上げます. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 受付番号(IEEJ ID)   24013925 原稿タイトル     An Elementary Approach to The Fourier Transform of Non-Absolutely Integrable Functions 著者         赤岩 芳彦 投稿論文誌名         共通英文論文誌(TEEE A) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 事務局からのコメント: 電気学会では2名以上の査読者選任が困難であるため,返却(削除)とさせていただきます。

分布定数線路

社内研修用の講義資料を作ってみました。分布定数線路の理論と応用を解説しています。ここではまえがきのみ掲載しておきます。 続きは資料 を見てください。 1 .  まえがき    高周波信号を伝送する線路は分布定数線路と呼ぶことがある。例えば、 VHF 帯の TV 信号用のケーブルとして、レッヘル線 (Lecher line) がよく使われた。 TV 信号が UHF も使われるようになって、これの代わりに同軸ケーブルが使われている。マイクロ波などの線路としては、立体回路である導波管が使われる。マイクロ波回路の中では、マイクロストリップ線路 (micro-strip line) がよく使われる。これらの線路の性質は、 Maxwell   の電磁界方程式をそれぞれの境界条件を与えて解くことによって示すことができる。 同軸ケーブルの電磁界理論 は、 Maxwell   の方程式の意味するところから始めて、私の下記のブログにも載せているので興味がある方は読んでください。 https://yakaiwa.blogspot.com/2023/03/blog-post_17.html  分布定数線路という用語は、従来の集中定数回路を意識して作られたものであろう。集中定数回路素子である Inductance 、 Capacitance が分布する回路モデルが用いられる。このモデルを使えば、電圧や電流の波としての性質を記述できる。 Maxwell   の電磁界方程式を持ち出すまでもなく、集中定数電気回路理論の延長として、理論展開ができるので、取り付きやすい。ここでは、分布定数線路の理論解析を、馴染みがある実数関数を用いて始める。その後、複素数表示 ( 交流理論 ) を使って説明を行う。電気工学が専門でない方にも、複素数表示の数学的な便利さを実感していただきたい。また、分布定数線路を用いた応用例を示して解説している。

洗濯機の故障と修理

  10 年間使っている東芝製の洗濯機が、風呂の水を吸い上げなくなった。ポンプがダメになったと思ったので、メーカの修理窓口に電話した。部品があったとして、修理には 17,000 円ぐらいかかると言う。おまけに部品がなく修理できなくとも、出張費が 4,000 円かかる。もったいないと思ったので、風呂水吸い上げ用の小型水中ポンプを 2,000 円くらいで通販で申し込んだ。その夜、布団の   中で気づいた。ポンプの故障ではなくホースに穴が開いている の が原因ではないかと。吸い上げ式のポンプだからである。案の定、蛇腹状ホースの差し込み口付近に小さな亀裂が見つかった。そこを、ビニールテープでふさいで試した。ポンプの音はしているのに、水が上がらない。調べてみると、他にも穴がある。少し 引っぱってみると、ホースの蛇腹の山と谷のあちこちに穴が開いた。 結局のところ、先端から  40 cm  くらいのヘタっている部分を切り取って、水が上るようになった。   ところが、 2 ヶ月ぐらい経ったところで、また、吸い上げなくなった。今度   はポンプの音がしない。ネットで調べてみると、東芝製洗濯機用として、純正ポンプが売られている。しかし、適合機種が合わない。ともかく、洗濯機の機種 ( モデル ) が驚くほど多い。似たようなモデル番号であるが、末尾の記号が異なるものがたくさんある。恐らくは、量販店向けの仕様をわざと少し変えているのだろう。東芝の相談窓口にまた電話をしてみた。私の機種を伝えて、これに適合するポンプの型を教えてくれて頼んだ。担当者が怒った声で言うには、「当社の純正部品が市場に出廻ることはないはずだ。教えるわけにはいかない」。   それでも、最後には「ネット通販会社に問い合わ   せてみたらどうか」と言ってくれた。       ネット通販サイトには、買った客が投稿した記事がいくつかあった。役に立った記事は、洗機の後側の上部のビス 2 本をはずすと、パネルが取れて、ポンプ   交換が簡単にできると書いたものである。   また、ポンプのサイズは少し小さいものでも、ホースサイズは同じで、電源 ( 恐ら...

数学論文投稿(電子情報通信学会から電気学会へ)

 電子情報通信学会 英論文誌A (基礎境界) への論文投稿が破局になったことはすでに書いた。そこで、古巣の通信ソサエティの英論文誌に投稿をしていました。ところが、少し案じていたように、下記のような受付拒否の連絡が来ました。 The IEICE Transactions on Communications editorial committee has regretfully decided that your manuscript be returned to the authors without being considered for publication because it appears to have little relation with the topic of our journal.   どこの論文誌に投稿するか思案していたところ、友人の助言もあったので、電気学会の英論文誌(基礎)に投稿しました。この論文誌は応用数学を分野に含んでいるので、上のような拒絶理由はないと思っています。また、私の引用文献が日本語で書かれているものが多いので、外国の論文誌はこの点が問題になるかもしれないと思った次第です。 私が添えた手紙を紹介します。 電気学会論文委員会 殿 2024.12.10 赤岩芳彦     非会員ですが投稿させていただきます。この論文は私が会員である電子情報通信学会の論文誌に投稿したものの、悲しいいきさつ(私の短気で不適切な言動も原因)で査読を打ち切られたものです。   論文の内容は、フーリエ変換の理論とその応用に関するものです(参考までに別紙に内容をまとめております)。フーリエ変換は、電気工学でも必須の数学的道具の一つであると思います。ただし、対象とする関数が積分不可能な場合には、その理論的な扱いは超関数の議論が基になっています。例えば、電気工学で多用される三角関数のフーリエ積分では、デルタ関数が現れます。デルタ関数もまた、電気工学で利用する数学の代表の一つです。   超関数理論におけるフーリエ変換の定義は、抽象化され従来の定義と大きく異なっています。そのため、適切な教科書が少ないこともあって、数学を利用する工学者には馴染みが少ないです。そ...

日本銀行 我が国に迫る危機

  河村小百合、講談社現代新書 2023 年 3 月   東洋経済新報社の「石橋湛山賞」の発表を見て、この本を買って読   んだ。 アベノミクスに呼応するための、黒田日銀政策の結果が近い将来、日本経済に与える危機を詳しく論じている。表紙には、タイタニック号沈没の絵が出ていて、日本経済の沈没の危機を表している。   財政破綻の例として、ギリシャ、アイスランド、それと日本の敗戦後を上げている。敗戦後の財政措置として、ハイパーインフレを起しただけと私は理解していた。事実は新紙幣を発行して、預金引き出しを封鎖するとともに、資産課税 ( 財産税 ) を断行した。税率は 25% から始まり、上限は最高 90%  であったそうだ。これにより、政府は国民からの借金を事実上踏み倒した。   アベノミクスの放漫財政を支えるために、 ( 黒田 ) 日銀の財政情況として、国債を買い増した結果   、国債 546 兆円、共通担保オペ (?) 80.1 兆円、 株価上げのために購入した ETF 36.9 兆円と合わせて総資産約 685 兆円である (2022 年 9 月末 ) 。名目 GDP ( 国民総生産費 ) 比にして、約 123% と大きい。   ついでに政府の債務残高は約 1,100 兆円である。これは  GDP 比にして 260% である。この値は敗戦直前の GDP 比とほぼ同じである。また、政府の予算総額 (2024 年度 ) は 112.5 兆円であり、そのうち、借金に当る国債費は 35.42 兆円   ( 約 31 % ) である。国民の経済感覚からしたら、この借金依存は異状であることはまちがいない。   著者の言わんとすることは、このような財政運営が永続きする   わけはなく、いずれ、敗戦時のような悲惨な状況に突入すると警告している。そのためには、私たち 1 人ひとりが、「甘え」、「無理解   」、「無責任」から脱却しなければならないと指摘する。     著者の主張に...