NHK番組登場ならず 

 

写真は私が伝馬船「繁丸」の艪を漕いでいるところである。弟が舳先からスマホのカメラで写した。今年の10月に、姉、弟、従兄弟、などで五島奈留島の実家に行った際のものである。この船の由来については、すでにブログに書いてある。大工さんと鉄工所に頼んでいた船台車が出来上がったので、それに載せてみるために、船を、一旦、海におろして家の近くの海水浴場の飛び込み台を兼ねた波止場に移動させた。


 

波止場から離れている方向にこいでいるのには訳がある。私が艪をこいで波止場に寄せたところ、見知らぬ男が近寄ってきて、何をしているのか、と声をかけてきた。私はいきさつを説明した後、君は艪をこげるかと聞いたところ、できないとの返事だった。彼は、NHKの番組作りのために福岡から来ていると話した。岸の方を見ると56人が立っており、確かにテレビカメラも構えている。最近、船の艪を漕ぐのは珍しい風景である。それで、カメラに撮ったそうだ。私は、それではもう一回取り直してみたらどうか、と話したのである。ついでに、「ギャラは高いよ」と言っておいた。


取り終わってから、NHK番組の企画の話をしてくれた。五島出身の長濱ねる(NHKの連続朝ドラマ「舞い上がれ」に、土産もの売り場の女性役で出ていた) が、五島各地を訪ねる番組である。私はこれまで2回見たことがある。今回は奈留高等学校の島留学制度を扱う番組であると説明した。テレビ映りの良い場所を探していて、我々が偶然に現れたのだ。テレビ撮影でこんなに大勢で来るものとは知らなかった。彼らは、大工さんの息子が、最近始めたゲストハウスに日中だけ3日ぐらい滞在していた。私の実家から2軒先の空き家になっていて取り壊す予定の家を改造した家である。大工の息子がいたので、私は一緒に野次馬よろしく道端から中の様子を伺っていた。そのうちに、長濱ねるが掃きだしガラス戸を開けて顔を見せた。きれいに化粧している。その担当なのか、女性の付き人が2人もいる。私が話した男が責任者であった。その他に34人の男がいる。もらった名刺を見ると、NHKではなく、その下請け会社である。


その夜に、私がこの話を弟にすると、自分も会いに行くと言い出したので、恥ずかしいからやめとけ、と言っておいた。撮影が終了したと思われる彼らが、かの長濱ねるも含めて、波止場で竿を出して魚釣りをしていた。よせばいいのに、弟は近寄って行き、自分の娘がファンである旨を口実にして写真を撮らせてくれ、と言ったそうだ。写真は駄目だけどサインなら良いと言われ、手帳にサインをしてもらって帰ってきた。後で調べると、彼女はけやき坂46の一員であったので、そこそこ知られているようだ。


我々は責任者の男が放映日時が決まったら知らせてくれると言ったことで、話が盛り上がりその報告を待っていた。そうこうしているうちに、弟が違うスジから放映日と時間をつかんだ。NHKの新日本紀行のシリーズである。朝早かったので私は録画しておいた。弟といとこの2人から電話が入り、私の姿は登場していないと言う。だけど、長濱ねるも出てこなかったので、違う番組だろうということになった。私が録画を見てみると、何十年も前に放映した奈留島の隠れキリシタンや、出来たばかりの奈留高等学校の当時の女生徒の一人が、歌手の荒井由美に校歌を作ってくれと頼んでできた曲「瞳をとじて」の由来などを取り上げた白黒の映像に続いて、今度、新しく撮った奈留高校の内地留学生の様子が付け加えられて、放送されていた。確かに長濱ねるは出てこなかったので、次に期待していた。その期待もすぐに消えた。1週間後に放映された番組に彼女が登場したというのだ。その番組はSDGs (持続可能成長) に関するのものであったそうだ。そこには奈留島の隣にある椛島に設置されている風力発電装置を紹介したものだったようだ。奈留島の潮力発電プロジェクトも出たかもしれない。私は見逃した。


後で、皆で話したことである。私が名刺を出したのがまずかったのではないかと言うものだ。奈留島の漁師ではないことがばれてしまったのでボツになったのだろうと。

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