日本数学会への論文投稿(続き)

 

以前のブログに書いた数学論文投稿に関して、返事が来ました。案じていた残念な結果です。案じていたとは、別のブログで示した「絶対可積分でない関数のフーリエ変換」のまえがきに書いた部分、「私は数学の学会誌に投稿すべきだったのかもしれない。ただし、記述が数学的に不正確で、論文の可否の判断がつかないとして、拒絶されたことだろう」の部分である。下記に示すように、論文が否であることは、中身を精査することなく、パッと見て判断されたようです。

 

Dear Professor Akaiwa,
 Thank you for allowing us to consider your manuscript, ” The Fourier transform of not absolutely-integrable functions” for publication in the Journal of the Mathematical Society of Japan.
    We do not have a full referee report, but quick opinions gathered suggest that it would be difficult to convince the full editorial board to accept the article.  Our journal's very strict standards force the editors to be extremely selective among competing articles. Therefore, rather than begin a refereeing process that could take months, I am returning your manuscript to you now.

 

拒絶の理由が何も述べられていないのは、せっかく投稿した意味がない。落とされるとしても、専門家の意見を聞きたかったのですから。その後、二人の知人に、いきさつと意見を求めたところ、次のような返事が来ましたので紹介します。

 

1. 

日本学会のジャーナルは密な形式主義なので、形式が学者向けでないと出版は無理です。価値の問題ではなく、形式の問題だと思います。学者向けに概念、用語の定義をきちんとしたうえで、密な証明を施した定理が展開される、という形式から逸していると取り上げてくれません。私は投稿したことはありません。日本学会の文ジャーナルに投稿するなら、初等的な点から議論したものではなく、門的な点から議論したものでないと受け付けてくれないと思います。学者にんでもらう場合も同です。オリジナルペーパーであればなおさらですが、解などにしても同です。日本学会が発行する学通信ならこの形式にこだわらず書いてよく、問題の学的な点をまとめて、問題点を指摘するとか、学者に質問する、という形で工学の立場で考えたことを投稿するというのはありうると思います。フーリエ換などの門家はいないわけではないですが、もう少し学的に書かれたものでないとやはりんでくれないと思います。

 

2. 

私は工学系,物理学,純学の各分野で経験がありますが,特に工学系と学では学術誌や論文のあり方が大きく異なるように思います.このようなことを申し上げるのは大心苦しいのですが,論文の容がもし学的に正しいとしても,載してくれる学系の学術誌を見つけるのは抑制的な言い方でも大難しいと思います.ネガティブなコメントしかできずに申しありませんが,学の分野に身を置く者としての率直な意見としてお納めいただければ幸いです.

 

私は、お二人の意見を聞いて、納得しています。数学の学会及び論文の雰囲気を少しでも感じられます。もう少し、自由闊達な世界かと思っておりましたが。工学系のように金儲けに結びつくような世界とは一線を画した、厳しい戒律の中で真理を探究する姿勢は、学問の原点です。ただし、私は懲りずに、私の見解に関して、専門家の直接的な意見を聞いてみたく思っています。昔は、技術、物理、数学、及び哲学の垣根はそんなに高くなかったと思いますので。

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