書評:前方後円墳: 巨大古墳はなぜ造られたか、Amazonへ 投稿


古代史の研究において、ある出来事の年代を確定することは重要である。特に、金属や石に刻まれた年代は、その他の年代決定の基準になるので、その確定は古代史の真実を知るための根幹となる。この本の中でも述べられている稲荷山古墳出土の鉄剣に刻まれている辛亥年は最も重要であろう。編著者の吉村武彦は、何の根拠も示さずに西暦471年と書いている(p187)。一方で、韓国の研究者、申 敬澈は古墳発掘土器の編年を元に、これに疑問を呈し、6世紀前半(531年)と指摘している(p243)。重要な論点について、同じ本の中でこのように異なる見解が書かれていることについて、編著者が無頓着であることが不思議でならない。研究において、論点の重要性の軽重を意識していないのだろうか。私が属している理工系の学会などの書物では、このような事態は考えられない。すぐに活発な議論がおこり、真偽が確かめられる。新しい重要な事実は、研究に革命を起こすからである。この辛亥年については、在野の研究者であった、故 石渡信一郎が、古くから531年と主張していた。ただし、主流の研究者からは無視されているように思われる。私は、専門外ながら、彼の論の展開は説得力があると思う。古代史の研究者の研究執筆態度には前々から、疑問を感じていたので、この本を読んだ機会をとらえてここに述べさせていただいた。赤岩 芳彦

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