投稿

数学論文投稿(電子情報通信学会 7度目の拒絶と8度目の投稿)

 7度目の投稿も拒絶されました。2か月以上待っても査読者が決まらないので、ヤキモキしていました。驚いたことに、編集委員が査読者に回さずに、自分自身で拒絶の判断を下していたのです。フーリエ変換と逆変換に対する私の定義が間違っていると指摘して、拒絶理由にしています。私は、先の回答で、定義は正しいか否かの判断になじまないと書いていました。これにもかかわらずに、正しくないとの言葉使いをしています。怒りに任せて、反論をする回答文と訂正原稿を4日で書きました。 実は、コロナで自宅隔離療養 をしていたとき、布団の中で退屈しのぎで本を読んでおりました。このとき、物理数学の専門書で私の原稿の中の式変形の間違いに気がつかされました。投稿論文の取り下げの判断を編集委員に問うたのと入れ違いに、拒絶通知が来ました。この間違いは、数学の初歩に関しており(ゼロで割り算してはいけない)ます。ただし、油断すると思い込みによる気がつきにくい誤りです。査読者も今まで指摘してくれませんでした。私は、間違った式の結果を基づいて、査読者の意見に反論しておりました。今更ながら恥ずかしい次第です。ただし、これが、学問の楽しさの一つでもあります。 この間違いは、従来の方法の説明をしているところにありました。したがって、私の論文の展開に、大した影響はありません。 回答文 と 誤りを修正削除した 再投稿原稿 を寝かせています。興味がある方は、今回の回答文(1〜5ページ)だけでも読んでください。

J. ダイアモンド、「人間はどこまでチンパンジーか」(1993)

  本の帯による原題は「 The third Chimpanzee 」である。副題として、「人類進化の栄光と翳り」とある。これまでの人類の進化を、虐殺の例を含めて説明した上で、人類の未来を憂いている。ただし、悲観に終わるのではなく、楽観的な見通しも示している。この本は、昨年の夏に、五島の実家にいたときの暇つぶしに通販で買って、読みかけたままにしていた。著者の別の本「銃・病原菌・鉄」 (2000 年 ) は、だいぶ前に読んだ。識者が推薦する本の最上位層に挙げられていることが多かったので。私が読んだこの 2 冊は発行年からしたら、順序が逆になっている。   「銃・病原菌・鉄」は、ヨーロッパ文明が世界でなぜ先に進んだかについて書いたものである。これは、今回、紹介する本の中での話題の 1 部を取り出して、詳しく議論したものと言える。今回の本の和訳題名は良くないように思える。訳者あとがきによれば、原題は。英国版が「 The Rise and Fall of the third Chimpanzee 」、米国版が「 The Evolution and Future of the Human Animal 」である。私は後者の方が良い題目だと思う。動物の中の 1 つの種である人類の進化がもたらした、地球上の他の動物や植物に与えた被害の大きさを、事実を示しながら巧みな語り口で続ける。すらすらと読めるものの、新しい事実が次々に現れるので気が抜けない。 ここでは、この本で書かれていることで、私が興味を持ったことのみを箇条書きで示す。 1.  高等霊長類の分岐は新しい順に、コモンチンパンジーとピグミーチンパンジー、その前にこれらと別れたのがヒト ( したがって、この本では、ヒトのことを第 3 のチンパンジーと呼ぶ ) 、その前に別れたのがゴリラとされている。したがって、ヒトはチンパンジーとゴリラの間にある。 DNA の違いとしてみると、チンパンジーと人は 1.6% 、ゴリラはヒトおよびチンパンジーと同じ位の 2.3% とされている。私はヒトが最後に分かれたものだと思っていた。 2. 人類の性と生殖行動の特異性は、赤ん坊が生まれてから独り立ちできるまでに長い年数がかかることが原因である。母親 ( メス ) 1 人では、この長

宮台眞司と小室直樹に学ぶ社会学

  宮 台については、彼が勤めている都立大学の 構 内で切り付けられた新 聞記 事を 見 るまでさほど知らなかった。何かで、「日本人は 見 た いものだけしか 見 ない」と書いていたのが 記憶 に残っていただけだ。今回の事件をきっかけとして、 彼のことをネットで 調 べてみた。 YouTube にもたくさん出て おり、本 質 を突いた 過 激な物言いに 興 味を持った。彼は、自分の 師 匠として小室を 挙 げている。 東 大在学中に、小室の自主ゼミ に参加していたとの事である。小室については、彼の本「数学嫌いのた めの数学」を、ずいぶん昔に 読 んだくらいである。彼が数学以外の、社会 や政治について 積極 的に 発 言していたと 覚 えており、その当 時、 なぜ そのような 話題 で 発 言するのかわからなかった。彼は、 京大の数学科を出た後、 経済 学 ( 阪大、大学院 ) 、社会学 ( 東 大博 士 課 程 ) と 専 門 を 変 えていることを、今回、知って 納 得した次第だ 。ここでは小室、「危機の 構 造 - 日本社会崩 壊 のモデル」 ( 初版 昭和 51 年、新装版 2022 年 ) と、 宮 台、「私たちは どこから来て、どこへ行くのか ( 平成 29 年 ) 、「日本の 難 点」 ( 2009 年 ) を 読 んで学んだことを私なりに 書 くことにする。   「 危機 の 構 造」は社会、政治、 経済 、 戦 争等について、日本の 構 造の 特殊性を指摘して、それが危 機 に突き 進 んでいくであろうと、半世紀前に断言し ている。昨年になって新装版として再 発 行されたのは、今の日本が 置かれている困 難 な状 況 が彼によって予言された通りであると考え てのことだろう。日本の社会 構 造の特殊性とは、すべての 組織 が 運 命共同体として、体制として 閉 じており、その行 動 基 準(エートス)が 内部の 論 理だけでのみ 定まっていると言うものだ。 内部に 閉 じているので、その 団 結 によるエネルギ ー は凄まじいもの がある。しかし、各 組織 は、独立には存在しないのであるから、外 部 組織 と 関 わらざるを得ない。この 時 、 異 なる 組織 と折 衝 するのであるから、内部 論 理だけで