数学論文投稿 (電子情報通信学会 4度目の投稿)

 


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度目の拒絶に対して、返信と書き直し原稿の案を123日のブログに示していた。それから約1ヵ月過ぎた。その間にどうしていたか。実は今まで経験したことがない、充実した学問生活に浸っていたのである。自分の考えの足りないところと改善案が、次々に湧き出してきた。私は、たいていは、晩飯と酒をすまして9時までに床に入る。そして、夜中の2時位に度々目が覚める。この時、論文を改良する新しい考えが次々と出てくるのだ。このような事は、朝の目覚めで、まだ頭の中が十分に覚醒していない時にも起こる。昼間では何か雑念が邪魔して、考えに集中できないのだろう。思いついたことを忘れないために、起き出してパジャマの上からズボンとセーターを着込みガウンも羽織ってから、パソコンに向かうか、食堂のテーブルの上で書いた。新しい数式を使うためには、その変形、特に積分が重要であった。布団の中である程度出来上がっていたと思っていたものの、実際に紙の上に書いてみるとうまくいかないことが多かった。日中も色々といじることが続いた。そのため、14名で行っている土曜日午前の畑仕事は、続けて4回欠席したし、その後のテニスにも行かなかった。囲碁の指導も断ったことがある。仲間が心配してくれて、ときには気晴らしに出てこいと言ってくれたことがあった。2週間前位に、一応これで出来上がりと思って、テニスの後に酒を飲んでいる仲間のところに途中から参加したことがあった。

 

夜中に起き出して文章を書き出していると体が冷えてくる。慌てて布団の中に服を着たまま入っても体が暖かくならないことが何回かあった。特に明け方のあたりが白々しく頃が1番冷えることを実感した。朝起きて、「これで論文は完璧になった」とカミさんに、何度も言った。そのうちに、「またですか、ゴルフに開眼したと何度も言っていましたね」と言われる羽目になった。原稿書き直しの履歴をパソコンで見ると、微々たるものも全て含めて60回位になった。ここ数日になって、夜中も明け方も改善案が出てこなくなったので、ここらで打ち止めにして、明日にでも4度目の投稿をするつもりである。今回の書き直し論文が受理されるかどうかはわからない。ただし、私は、査読者の疑義に対しては十分に応えたつもりである。論文はページ数が倍近くに増えて、刷り上がり11ページにまで膨らんだ。投稿前に採録された場合の費用を算定できる仕組みになっている。これによると29.3万円になる。会社や大学に勤めていたときは、これらの費用は勤め先から出してもらえた。今回は年金生活の身銭を切るので厳しい。そもそも現役がなぜ論文を書くのか。功名心以外にも、その後、金になって戻ってくるからである。博士号取得や就職活動においては、論文出版は重要である。ノーベル賞などは莫大な賞金が出る。


私はこの年76歳になって、なぜこれまで精根を詰めたのであろうか。老人の暇つぶしではある。それに加えて、私は死ぬための就活の一環と思っている。九工大で教えていた時に、学科の教官たちとの忘年会のおり、教授の一人に言われたことが忘れられない。「赤岩先生は一体どんな講義をしているのですか」と言われたのである。彼の研究室のコンパの折、学生たちが余興として教官の講義の真似をしたそうだ。その中で、赤岩先生は「ようはわからんが」としょっちゅう口にすると演じてみせたそうだ。言われてみればその通りである。学生に説明していて、なぜこのようになるのかわからないことが多々あった。通信方式の多重伝送の仕方やPCM音声などの標準方式がなぜそのように決まっているかはわからなかった。もちろん教科書にも書いていない。フーリ逆変換で元に戻る証明なども省いていたし、超関数理論や、それによるデルタ関数の説明も、私の勉強不足のせいで自分ではわかっていないけど、まあこんなものだと思ってていると正直に口にしていた。その教授に言われたことを、私の研究室のコンパの際に学生たちに披露したところ、1人の学生(大崎君)は「いや違いますよ、赤岩先生の講義は分かり易かった」とかばってくれた。私の今回の論文査読に対する返信の中でも述べたように、九大電気情報工学科の講義を評価する用紙に、「赤岩先生は学問的に保障されていない自分の考えを我々に押し付けた」と書いた学生がいた。これは、三角関数のフーリエ変換を求める際に、超関数を使わずに済ませる今回の論文の方法である。私はそれを教科書にも専門書にも書いた。これまで、20年位にはなるのに何の反応もない。それで数学の専門家に教えてもらって、これに決着つけてから死んで行こうと思ったのである。私の考えは現役の人々に大いに役立つと信じている。そして私の頭では、超関数に対する恐れ、あるいは理解しないでいた後ろめたさがいくらか消えた。それで、少しは安心して就活を終えることができる。


興味がある方は、原稿はさておき、編集者と2人の査読者への最終版返信のみでも読んでみてください。私は言いたい放題を書いています。

 私のヘマで上のリンク先が入れ替わっています。 ヘマがまだある事を例によって甥っ子が指摘してきた。皆さん探してください。音声入力を使ったのが原因です。

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