大人の常識に対して--子供の頃の魚釣り体験--

大人の常識を疑うことの私の成功体験を紹介する。小学校1年生になったばかりのことだ。父が魚釣り道具を作ってくれた。竹竿に糸をつけ(その方法には工夫がある)、先のほうにテグス (われわれは当時、スジと呼んだ) を50cm位使い釣り針を結んでいる。釣った魚を入れる、竹で編んだ小さなカゴ (テゴと呼んだ) を、私専用に用意してくれた。その時の糸は、我が家の上の家に住んでいたおばあさんが、釜に入れた蚕の繭から糸車を使って取り出してくれた絹糸だった。もつれにくいように、柿の渋を吸わせてある。 

当時は、短い波止場が1つあるのみであった。ここではベラ (地元ではクサブ、沖縄ではクサブベラ) やカサゴ (アラカブ)、小アジなどが釣れた。今では、昔の波止場の外側に長いのが1つと、対岸から伸びているのが1つ増設されている。アオリイカ (水イカ) やヒラマサ、アジが釣れる。最近は、どれもルアーを使った現代的な仕掛けが多い。 

ある晴れた日の朝に、作ってもらった釣り道具を初めて持って、堤防に釣りに行った。堤防の付け根あたりの外側に、手のひらサイズのグレ (地元ではクレンヨ) がたくさん泳いでいた。すぐに、準備しした。餌が何であったかは思い出せない。イワシの切り身かフナムシだったかも。傍にいた大人2、3名が寄ってきて言う。「お前なあ、見えているイオ (魚) は喰わんとぞ」と。私は構わず竿を出した。驚くことに次々と食いついてきた。小さいとは言えクレの引きは強い。短い時間で籠に半分位釣った。 

この体験は、私にとって貴重なものになった。大人の言うことをそのまま信じてはいけない、思い込みにとらわれるな、新しいことに挑戦せよ。これを今まで続けている。ただし、年老いるに従い、思い込みは避け難くなってきたのが悲しい現実である。

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