小説「また会う日まで」

 

朝日新聞に連載中のこの小説を読んでいる。海軍の学校における体験談に興味を覚えた。主人公の上司に当たる、鈴木貫太郎は、アメリカと戦って勝ち目は無いこと話したと書いていた。もしかして、一時的にはアメリカ西海岸ぐらいは占領できるかもしれないが、しかし、広い全土を占領し降伏させることなどできないと言ったそうだ。鈴木貫太郎は、終戦時期に天皇の侍従長として勤めていた。2. 26事件に襲われて銃弾を受けた。軍刀でとどめをさそうとするところに、奥さんが倒れ被さり止めように頼んだので、命を取り留めたことは本で読んで知っている。彼は、軍が反対していた終戦を、天皇と図って聖断と言う形で成し遂げた。小説では海軍での新兵イジメの様子も詳しく書いてある。また、九州での話題もたくさん出る。

 

作者は池澤夏樹である。名前だけは知っている。自分の体験談を下にしているのなら90歳位の老人になることになる。確かめるべくネットのウィキペディアで調べてみると、私と同い年で、昭和20年生まれである。彼の父親は福永武彦とある。福永武彦の作品を大学時代に読んだことがあるので、興味が募る。彼のことを調べてみて、小説に書かれている内容と作者、池澤夏樹の関係が判明した。私としては俄然、面白みが増えた。今、新聞で読んでいる人にはネタばらしとして、不興を買うかもしれないがお許し願いたい。

小説の主人公は、作者の父の母方の叔父である、海軍少将、理学博士の秋吉利雄である。したがって、作者の池澤夏樹は大叔父のことを書いていることになる。昨日の新聞に出ていた部分では、主人公が甥に当たる武彦(福永)を、理科に興味を持たせようとしたがうまくいかなかったと書いてある。ウィキペディアでは、福永武彦は東京帝国大学の学生である福永末次郎と、日本聖公会の伝道師であったトヨの間で、福岡県二日市に生まれたとある。小説では、読んだ方は知っているように、武彦は福永末次郎の実子ではなく、トヨが大阪から来た男と別府の温泉で一夜の契りでできた子供となっている。小説の主人公が、親戚筋にあたる福永末次郎に因果を含めて、自分の妹であるトヨと結婚させ、武彦を末次郎の子として育てることになった。次男も生まれ文彦と名付けられた。ただ、トヨは産褥熱で死んでしまった。最近になって、小説の題名「また会う日まで」が讃美歌の中で紹介された。軍人とキリスト教がキーワードである事は間違いないだろう。連載は今年度中に終わるだろうから、どのような結末になるのか楽しみである。また、小説の中での出来事と、実際のそれが、どれほど同じかも興味が持てる。

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