情報という単語について

 

この言葉は、現在ではなくてはならないものとなっている。私はそれが、軍隊用語を漢字で表したものであることを知っている。すなわち「敵情報告」を短縮したものである。したがって「情報通信」と言うのは、通信がダブって使われていることになる。

 

よく使われている単語である「IT」には通信が含まれていないとして、ときには、特に通信の専門家が ICT」と言い換えている場合もある。「情報」には先に挙げた軍隊用語で通信の意味も含んでいるのでわざわざICTと言う必要はない。

 

ITは情報理論 (Information Theory) の短縮略称でもある。これは、シャノンが始めた通信技術の理論である。従って、この訳語は、「情報」=「通信」を意味している。ところで、中国においては、情報は使わない。これに対しては、「信息」を使っている。この方がより一般的に思える。

 

このブログを書くにあたり、念のためにネットで調べたらよくまとめているものを見つけた。「情報と言う言葉の語源とその周辺について」( yamashita-lab.net)である。これによると、Information Theoryを情報理論と訳したのは東工大教授だった関英男である。当時は(1954年)、評判が悪かったそうだ。元になったフランスの軍隊用語を辞書で調べると英語では、Informationとあるので、あながち、不適当ではない。問題は「情報」の出自が軍隊用語からであることだ。当時は、東大に作ろうとした学科(計数工学)名を「情報工学科」にしようとして、一笑に付されたそうである。同様に「情報処理学会」も、その設立のときには、大いに異論が出たと書いている。当時は、「情報」の出自が皆に知られていたからだろう。今では「情報」が英語のinformation の意味で、何の違和感もなく使われている。

コメント

  1. informationには案内と言う意味も有った様な、、高校の英語で覚えた記憶があります。そうなって来たら連絡説明と言う新しい日本語も登場しそうです。言語とは不思議で便利な道具だとも想います。言葉も歴史的認識論で成り立っている気がします。赤岩先生、論説御案内ありがとうございます

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